初心者向けRPGツクールVX講座、第20回目です。
第19回では、新しく作成したモンスター「ブルースケルトン」を敵グループに登録して、ゲームに登場させる設定をしました。
今回は、第18回、第19回で覚えたモンスター設定を利用して、最終ボス「魔王」を作っていきます。
最終ボスとはいっても、その設定方法は通常のモンスターと同じです。モンスターの設定については第18回で詳しく説明していますので、そちらも参考にしましょう。
データベース[敵キャラ]に新しくモンスターを追加します。
リストを見ると、すでに「魔王」という名前のモンスターが登録されています。同じ名前のモンスターが2体いると紛らわしいので、名前にひと工夫を加えます。
[グラフィック]は「Darklord」の絵を選択します。「Darklord」の絵は体験版に入っていませんので、その場合は「Demon」で代用してもよいでしょう。
「魔王ゴンザーレ」の能力値については、主人公たちが魔王と戦うときのレベルを想定して決めます。そこで参考になるのがテストプレイです。実際にプレイして、魔王の部屋にたどり着くまでにどれだけレベルアップするか試してみましょう。
途中で出現するすべてのモンスターと戦い、魔王の部屋にたどり着いた時点でのレベルは6。最短ルートで進みましたが、レベル6前後を最終レベルと想定してよいでしょう。
レベル1のときに比べるとレベル6の主人公たちはかなり強くなっています。最大HPは1.5倍~2倍近くに、使用できるスキルも増えています。ロングソードを装備したエンタの攻撃力ならば一撃でブルースケルトンを倒せるようになります。
さきほどのテストプレイ結果を元に、ここでは「魔王ゴンザーレ」と戦うときの主人公たちのレベルを6と想定します。まず、主人公たちの攻撃力と防御力を考慮してモンスター側の攻撃力、防御力を決めます。最大HPは、実際に主人公が魔王に与えるダメージ値を見てみないと確定できません。魔術師の「ツクル」が基本威力150のスキル(魔法)を使えることを考慮し、仮の数値として最大HPを1000としました。
行動パターンも仮に設定しておきます。最終ボスの手ごわさを演出するため、敵全体に炎属性のダメージを与える「フレイム」のスキルを登録します。
ひとまず「魔王ゴンザーレ」が形になりました。これは仮設定ですので、必要があればあとで調整を行なうことになります。
ボスの能力値を決める際、注目すべきポイントは、そのボスと戦う時点で想定される主人公の最大HPと攻撃力、防御力です。ほかの能力値も重要ですが、この3つは特に“相手を倒せるか?”に大きく関わってきます。ボスの最大HP、防御力に対して主人公の攻撃力が低すぎれば、十分なダメージが与えられず倒すことができません。反対にボスの攻撃力に対して主人公の最大HP、防御力が低すぎれば、あっという間に主人公が倒されてしまいます。
言い換えれば、主人公がボスの攻撃に何回耐えられるか、そして主人公が何回攻撃すればモンスターを倒せるのか、という基準で考えればよいわけです。……とはいえ、それ以外にも主人公の装備や使用可能なスキル、そして攻撃方法など、さまざまな要素が関わってきます。まずは、そのボスと戦うときの主人公のレベルを意識して考えていきましょう。この注意点は、雑魚モンスターを設定する場合にも当てはまります。
次に「魔王ゴンザーレ」を敵グループに登録します。敵グループの設定方法については、第19回で詳しく説明していますので、そちらも参考にしましょう。
「魔王ゴンザーレ」を強さを確認するために[戦闘テスト]を実行します。戦闘テストとは編集中の敵グループと実際に戦闘ができる機能です。主人公パーティーの構成、レベル、装備を自由に設定して確認することができます。
[戦闘テスト]をクリックすると主人公パーティーの設定を行ないます。4つあるタブは、それぞれ1人目~4人目までのキャラクターの設定内容となります。[アクター]に戦闘テスト時のパーティーに加えるキャラクターを指定します。3人以下で編成したい場合には「なし」を選びます。[レベル][装備]は、キャラクターごとに設定が可能です。
ここでは1ページ目に「エンタ」、2ページ目に「ブレイ」、3ページ目に「ツクル」を登録しました。4人目はいませんので、4ページ目のアクターは「なし」を選んでいます。レベルは全員6に、お店で買える装備を身に着けさせました。キャラクターの設定が終わったら[OK]をクリックします。これでメンバー全員がレベル6になった状態で「魔王ゴンザーレ」と戦うことができます。
「魔王ゴンザーレ」とのテスト戦闘を繰り返した結果、全員で通常攻撃を行なった際に与えるダメージが、1ターンあたり130ポイント前後であることがわかりました。魔王のHPは1000ですので、8ターンほどで倒せることになります。しかし、ブレイの魔法「ウィンド」使った場合、1発で約300ポイントのダメージ、ツクルの「ファイア」「アイス」を使うと約170ポイントのダメージが与えられます。エンタたちが最大火力で戦うと、1ターンで500ポイント以上のダメージを魔王に与えられることになってしまいます。わずか2ターンで倒せてしまうボスでは、ちょっと物足りません。
調整方法としては、まず魔王の最大HPを増やすことが考えられます。たとえば倍の2000にすれば、魔王を倒すまでに単純計算で4ターンかかることになります。しかし、この方法だと、魔法を使わなかった場合(使うことに気づかなかった場合)、倒すまでにかなりのターン数がかかることになります。
もうひとつの方法は、魔王に設定されている属性有効度を調整することです。魔法から受けるダメージが大きいのであれば、それらに耐性をもたせればよいわけです。「ウィンド」の魔法は「風」属性、「ファイア」「フレイム」は「炎」属性、「アイス」は「冷気」属性がそれぞれ付加されています。そこで、それぞれの属性に対応した「魔王ゴンザーレ」の属性有効度を「C(100%)」から「D(50%)」にします。そうすることで、これらの魔法から受けるダメージを半分にすることができるのです。バランス的に考えると、こちらの方法で調整するほうが無難のようです。
ボスモンスターとの特別な戦闘を演出するため、戦闘開始直後に「魔王ゴンザーレ」にセリフをしゃべらせてみましょう。
戦闘中、セリフをしゃべるなどのイベントを発生させるためには“バトルイベント”というものを利用します。
バトルイベントは、データベースの[敵グループ]タブで設定します。基本的な考え方は通常のイベントと同じです。複数のページを作ることが可能で、それぞれの発生条件に応じて実行されます。したがって[イベントページ作成]や[イベントページコピー]などのボタンも通常イベントと同じ使い方をします。
[条件]とはイベントの発生条件です。「…」をクリックすると、複数の項目を指定することができます。これから作るセリフのイベントは戦闘開始直後(0ターン目)に発生させたいので、ここでは[ターン数]にチェックを入れます。数値はゼロのままでかまいません。
[スパン]というのは、発生条件が満たされた場合、そのイベントが実行されるタイミングのことです。タイミングは3種類あり、「バトル」というのは、条件を何回満たしてもその戦闘中に1回しか実行されません。「ターン」というのは、1戦闘ターンごとに条件判定が行なわれ、条件を満たしていれば同じターン内に1回だけ実行されます。「モーメント」というのは、常に条件判定が行なわれ、条件を満たした瞬間に何回でも実行されます。セリフのイベントは、0ターン目に1回だけ実行されればよいので、「バトル」のままにしておきます。
一番大きな空欄にはイベントの実行内容を設定します。「◆」をダブルクリックするとイベントコマンドの一覧が表示されます。1ページ目の[文章の表示]を選んでください。
メッセージテキストを入力します。顔グラフィックの表示はお好みですが、魔王の絵(Monsterの下の段、一番右の絵)があるので、こちらを設定してもよいでしょう。
※顔グラフィック[Monster]の画像は、RPGツクールVXの体験版には入っていません。体験版をご利用の方はご注意ください。
第20回はここまでです。次回は、魔王ゴンザーレとの対決イベントを作ります。