まえがき
前作RPGツクールVX Aceから4年、このたび新作、RPGツクールMVが登場しました。本作は、RPGツクールVX Aceをベースに、かつてのツクールで評判の良かった機能を復活させたり、全く新しい機能を追加したり、様々な点が改善されています。
この講座では、これから3回にわたって、これまでのRPGツクールに慣れ親しんだ人に向けて、「どんなところが新しくなったのか」を紹介して参りたいと思います。
この講座は、経験者を想定して書かれています。このため、初めてRPGツクールに触れる人にとっては若干難しい部分も出てくるかもしれません。しかしそういった方に向けても、従来の機能について「復習」などとして説明を加えるなど、一定の配慮はしておりますので、根気強くお付き合いいただければ幸いです。そうすれば、きっと初心者のあなたでも、しっかりした上達をお約束できると確信しております。
RPGツクールMV概要
様々な要素が「Multi View(多視点)」に
RPGツクールMVの「MV」という言葉には様々な解釈が込められていますが、その中のひとつに、「Multi View」という意味も含まれています。
今回のツクールでは、「Multi View」、すなわち、様々な点が「多視点」になりました。
戦闘でフロントビューとサイドビューの両方から選べるなどもそのひとつですが、一番大きいのは、javascript+HTML5によるマルチプラットフォーム対応でしょう。
マルチプラットフォームについては、他の方が紹介しているので、この講座での詳しい紹介は行いませんが、これまで「ツクールで作ったゲームをスマートフォンやMacで遊びたい、遊んでもらいたい」と考えていた人は少なくないことでしょう。今回、その悲願がついに実現するのです。
RGSS(Rubyベース)からJavaScript+HTML5ベースへ
JavaScript+HTML5の採用により、これまでRubyで書かれていたスクリプト部分は、全てJavaScriptで書き直されました。
ツクラーの皆さんにとって、JavaScriptは、あまり馴染みのない言語かもしれませんし、仮に経験のある人でも、今回のプリセットスクリプト(あらかじめ組み込まれているスクリプト)にある「プロトタイプチェーン」など、オブジェクト指向を意識した構造は初めてという方も少なくないと思われます。オブジェクト指向についての全てをここで語ることはできませんが、簡単に言うとゲームの基本機能を拡張したり、新機能を追加するのに都合の良い構造になっているということです。
この講座で紹介する内容
この講座では、新機能のうち、以下の項目について詳しく説明します。
第1回:サイトビューバトル
・サイドビューバトル
・サイドビューバトルで役に立つプラグイン
第2回:マップレイヤー
・マップレイヤー
・マップ作成に関する便利な新機能
・ PCでのマウスによる操作
第3回:イベントコマンド
・イベントコマンドを使ったテレポートの作り方
・イベントコマンドおよびデータベースの新機能
・既存のツクールからの変更点のうち、特に注意が必要な点