『RPGツクールMV Trinity』作品募集にたくさんのエントリーありがとうございました。エントリーいただきましたゲーム総数217ゲーム(PS4版78ゲーム、switc版139ゲーム)の中から ユーザーの皆様に評価していただいたランキング、ダウンロード数・評価数などを考慮し 最終選考作品10本を審査員の皆様にプレイしていただきました。

大賞(100万円)

「該当作品無し」
厳正な審査の結果、大賞は該当なしとなりました。

優秀賞(30万円)※今回、優秀賞の評価が拮抗しましたので、2作品の選出となりました。

リクドウさんの「記憶の修理人」が優秀賞に選出されました。
ストーリー、独自の世界観、魅力的なマップ等が高評価を得ておりました。受賞おめでとうございます。

浜村弘一氏 コメント

内容的には、そのまま商品にできるレベルに達している作品だと思う。ぜひ完成版を見てみたい。

栗田穣崇氏 コメント

他人の記憶を修復できる主人公ウィルと、ある事件がきっかけでニワトリの姿になってしまった"先生"ことバディが、ある通り魔事件を追っていく物語。RPGの体を取ってはいますが、一本道で育成要素などはなく、その分物語をじっくりと読ませるアドベンチャードラマのような作品でした。主人公が記憶を修復するためにキャラクターの心の中に入り、その過去や心情に触れていくことで登場人物に対して感情移入し、その繰り返しが作品に対する感情移入に繋がっていく。その構造を成立させるためにゲームシステムや演出の取捨選択を行った苦労が感じ取れ、それが見事作品への没入感に繋がっています。特に冒頭から本題の通り魔事件に至るまで飽きさせず迷わせないようにバディの会話劇やゲーム進行をテンポよく展開したところは、とても素晴らしいと思いました。今回の応募では前編のみで物語が終わっており、もし完結していれば大賞という可能性もあっただけに非常に惜しい作品です。とてもいいところで終わってしまっただけにぜひ最後まで作っていただきたいと思います。そしてなぜか無性に美味しいパンが食べたくなりました(笑)

RPGアツマール運営チーム

物語を読ませる魅力にあふれた作品です。
主人公ウィルは、依頼人の記憶の世界に入って記憶の断片を取り戻すことができる特別なチカラの持ち主。
しゃべるニワトリ”先生”と共に、街でウワサとなっている”三本爪の通り魔”の事件を追うなか、ある被害者の女性の記憶に潜るところから物語は大きく動き出します。
何も知らない被害者の妹も一緒に記憶の世界に飛び込んでしまうアクシデントにより、物語に転調をもたらすだけでなく、ウィルや先生の人物像、記憶の修復人の存在する意味がプレイヤーにもわかる展開になっており、自然なストーリーテリングの中に、物語をわかりやすく、かつ魅力的に伝える力がうかがえました。
ウィルたちの取り戻す記憶の断片とは、まさに記憶の主の過去の想い出であり、その過程で様々なドラマを見ることができます。記憶を修復するという発想、そのアイデアをゲームシステムに落とし込み、物語としてきれいに紡ぐ。この一連の構成力が実に巧みで素晴らしかったです。

ツクール開発チーム

RPGツクールの機能を使いこなしつつ、プラスアルファの創意工夫を感じた作品でした。1画面あたりの情報量、タイルセットの組み合わせ表現、効果的なSEの使い方、テキストの読みやすさ、アイテム欄を使った説明、次の目的地への誘導など、プレイヤーに楽しんでもらいたいという心遣いが細部から感じ取れました。
魅力的なキャラクターの掛け合い、ドラマティックなシナリオ、展開の肝であるバトルシステムの調和、総合的に完成度の高い作品でした。

優秀賞(30万円)※今回、優秀賞の評価が拮抗しましたので、2作品の選出となりました。

貸しボート十四号さんの「幻獣島のナギ」が優秀賞に選出されました。
キャラクターたちの背景や心情までが丁寧に描かれてることや、総合的なゲームの質が評価されました。受賞おめでとうございます。

栗田穣崇氏 コメント

心優しい少女ナギと妖精シルク、幻獣たちが暮らす幻獣島に人間の少女ルーが漂着するところから話が始まります。テンポよく明るく進む会話劇に加え、戦うこととなるキャラクターたちの背景や心情までが丁寧に描かれてることで物語に深みを与えています。そして、なぜこの世界には優しい人しかいないのかが判明する衝撃のエピローグまで一貫して物語に惹き込まれ続けました。笑いあり涙あり、最後は穏やかな余韻に包まれる素晴らしい作品だと思います。
システム面では、お店や拠点に行くことなく、いつでもメニューからキャラクターを強化や入れ替えができるシステムや、1戦闘ごとにHPが全回復するおかげで無駄な寄り道やストレスなく物語に集中できました。パーティーメンバー9人は多いと最初思いましたが、進めていくうちに全員使うような構造になっていることに気づき、最終的にはどのキャラクターにも愛着が生まれていました。探索にコツのいるマップ構造や、分かっていてもつい接触してしまうエンカウントシンボルの配置などにもセンスを感じました。
受賞作品として相応しい作品であり、ぜひ多くの人にプレイしてもらいたいと思います。

RPGアツマール運営チーム

ストーリーの描き方が非常に丁寧。導入部分から絵本を読むようにわかりやすいです。パートナーの妖精がナビゲーターの役割を果たし、基本ルールなど教えてくれるので、スッと作品の世界に入っていくことができました。立体感のあるマップ表現、一緒に連れて歩ける幻獣(パーティーメンバー)の自由な編成など、ツクールの機能をうまく使って実現されたシステムが素晴らしく、いたるところにクリエイターの技量を高さがうかがえました。
そして、ほのぼのした雰囲気のストーリーを魅力的に彩ってくれるキャラクターたち。個性あふれる彼らの描かれ方が大変素晴らしかったです。
物語を追う楽しさ、お気に入りキャラを育てて攻略する楽しさのバランスがよく、総合的なエンターテインメントの高さを評価しました。

ツクール開発チーム

シナリオが練られ、イベントが適量に配分されており、そのボリュームと密度に満足感と達成感を感じました。
ゲームバランスも巧みに設計されており、買い物やアイテム作成、キャラクター交換のシステムは見事な出来栄えでした。独特なマップデザインは物語の雰囲気と合っており、かつ迷いにくい。オリジナリティと遊びやすさが随所に感じられる作品でした。

特別賞(5万円)

フォトショ職人さんの「令和のノストラダムス」が特別賞に選出されました。

浜村弘一氏 コメント

遊ばせるテンポが良い。意外なエンディング。「そう来るか」という差し込みかたが上手だった。純粋にエンタメ作品として楽しめた。

ツクール開発チーム

Trinityの機能を最大限に活用したすごろくシステムの完成度が高く、強い個性と可能性を感じた作品でした。
またゲームテンポが優れており、プレイヤーにストレスを感じさせない、楽しんでもらう配慮が盛り込まれており、エンディングまで楽しい気持ちでプレイさせて頂きました。
素晴らしい作品をありがとうございました。

審査員総評(敬称略・順不同)

浜村弘一氏株式会社KADOKAWAデジタルエンタテインメント担当 シニアアドバイザー

独自の世界観で練り上げられた作品が多く、どの作品からも作者のこだわりを感じられた。グラフィックへの手の掛け方も丹念で、まるで一枚の絵として眺めていたくなるような作品がいくつかあった。作品選出にあたって、高く評価したポイントは「プレーヤーへの気遣い」。遊び手をいかに楽しませるか。サービス精神というか、親切設計というか。作品を作り上げるだけでなく、その作品の中で遊び手がそこでどんな気持ちになるか。そこに上手く気遣った作品は、遊んでいても心地よかった。「令和のノストラダムス」。タイニーだけど、最後までテンポよく楽しませてくれた。乗りの良いセリフ回しに、思わず何度も笑ってしまった。「記憶の修理人」は、物語を読み込ませる作品。とても切ない気持ちにさせてくれる。記憶の断片を集めてくるというシステムも、よくできていた。どちらも上手に作者の掌の上で転がしてくれていたように思う。その転がされ具合が心地良かったです。

栗田穣崇氏株式会社ドワンゴ専務取締役

『RPGツクールMV Trinity』初のゲームコンテストということで、どのような作品がやってくるのか、大変楽しみにしておりました。そして、実際に応募された作品を拝見してつねに驚かされました。
どれも個性的かつそれぞれ独自の世界観が構築されており、ワクワク、ドキドキさせられる作品ばかりでした。ストーリーを丁寧に描いた作品、ツクールの機能にはないシステムを実現した作品、できることに制約のあるツクールだからこそ創意工夫の余地があり、いずれの作品からも、クリエイターのみなさんが楽しんで作られている気持ち、そしてユーザーに作品を通して伝えたい気持ちが伝わってきました。特に人の心の優しさを描いた作品が多いことがとても印象的でした。
ツクール広場には、たくさんの作品が投稿されていますが、同じマップやキャラ素材を使っていても、どれひとつとして同じ作品は見当たりません。それこそがまさに個性であり、あなたにしか生み出せない世界で唯一の作品であることを示しています。
この場をお借りして、受賞されたみなさんにはもちろんのこと、ご応募いただいたみなさん、そして、ツクール広場に作品を投稿いただいたみなさん、全員の栄誉を称え、お礼を申し上げたいと思います。素晴らしい作品を作っていただきまして、ありがとうございました。

RPGアツマール運営チーム

応募された作品、ひとつひとつをプレイしてみて、ツクール作品の、そしてツクールのポテンシャルを再発見することができました。
RPGツクールの本来の機能は、RPGを手軽に作ることですが、工夫しだいでRPG以外の作品も作ることができます。
ツクールとはいろいろな機能の詰まった道具です。その道具を使って何を作るのか? そこに、工夫する楽しさ、クリエイターの個性や想像力の働く余地があります。
私たちのRPGアツマールにも、毎日のように名作、良作、迷作、分類不能のゲームが投稿されますが、すべてに共通して、楽しんで作っている気持ちが作品から伝わってきます。ツクール広場に投稿された、たくさんの作品を見ても、今回審査させていただいた作品も見ても同様に、楽しんで作られている気持ちにあふれていました。
公開する場の違いはあっても、楽しんで作ること、みなさんの個性から生み出される新しい発明や発見の数々、すべての作品が秘める可能性は共通です。
すでにツクールをもっているみなさん、コンテストをキッカケにゲームを作ろうと思ったみなさん、これからもおもしろいゲームを思いついたら、すぐ作り始めてください。
ゲームの歴史を変えるのは、あなたの、そのアイデアなのかもしれないのですから!

ツクール開発チーム

広がりのある発想で様々な表現、遊びを楽しませて頂きました。私たちが想像もできないようなイベントコマンドや素材の使い方を見るたびに、皆さんの想像力の大きさと作品がもつ可能性を感じてました。
ツクール広場、作品募集の賑わいを通じて、作者の皆さまがもつ「作りたいと思う気持ち」「届けたいと思う願い」「遊んでもらう喜び」がプレイヤーの皆さんと繋がっていることを感じられます。
作品募集に応募してくださったすべての作者の皆さま、ツクール広場で作品をダウンロードしてプレイしていただいたプレイヤーの皆さまに心より感謝いたします。

最終選考作品

パケキャラストーリー
令和のノストラダムス
カコとミライ(仮)
幻獣島のナギ
サクラRPG
The Far way walker
追憶の英雄譚
BREAD and BLADE
前を向いて ~魔導物語~
記憶の修理人
(順不同)

最後に

受賞の皆さま、おめでとうございました。
受賞された皆さまには7月1日以降、ソフト上でご連絡させていただきます。
RPGツツクールMV Trinity内にあります「ツクール広場」を選択し、インターネットにつないでいただくとお知らせが届きますので、忘れずにご確認ください。

作品募集にご応募いただいた皆様、プレイしていただいた皆様にも改めてお礼申し上げます。
ありがとうございました。